訪問看護の現場には、病院とは異なるやりがいや課題が広がっています。
今回は、研究室での経験を経て訪問看護の道へ進んだ男性看護師K.Nさん(42歳)の1日に密着し、現場での工夫や家族との関わり方、訪問看護ならではのやりがいについてご紹介します。
よくある質問
訪問看護師の1日のスケジュールは?
訪問看護師は午前・午後にそれぞれ2〜3軒の訪問を行い、移動や記録も含めて8:30〜17:00が基本的なスケジュールです。
訪問看護で使われる道具には何がありますか?
基本的な医療器具(聴診器・血圧計・体温計)に加え、メジャーやノギスなど、自分で工夫した道具も含めて持参します。
訪問看護師はどんな人に向いていますか?
柔軟な対応力、患者と家族との信頼関係を築く力、観察力、そして責任感のある人に向いています。
男性でも訪問看護師になれますか?
もちろん可能です。まだ少数派ではありますが、男性ならではの視点や対応力が訪問看護の現場で活かされています。
訪問看護師K.Nさんのプロフィール

K.Nさんは短大卒業後に大学研究室で行動科学を学び、そこで看護師たちの研究に触れたことをきっかけに看護師を志しました。
看護学校を卒業後、病院に2年半勤務し、現在は訪問看護ステーションに勤務しています。
K.Nさんの1日のスケジュール
- 08:30:ミーティング、訪問準備
- 09:30~13:00:午前の訪問(2件程度)
- 13:00~14:00:昼休み
- 14:00~16:00:午後の訪問(2~3件)
- 17:00:記録記入、終礼
訪問看護を選んだ理由
「もっと一人ひとりの患者さんに向き合いたい」との思いから、病院勤務を経て訪問看護へ転職。
病院では限られた時間でしか患者と接することができなかったため、より深い関わりを望んでの決断でした。
現場での知恵と工夫
訪問看護では病院のように設備が整っていないため、現場にある物を活用する柔軟な対応力が求められます。K.Nさんは「寝たきりの患者さんの頭をペットボトルで洗うこともあります」と語ります。
持ち歩いているカバンには、「7つ道具」と呼ばれるオリジナルの看護セットが入っており、内容は以下のようなものです:
- 聴診器・血圧計・体温計(基本セット)
- 2種類のメジャー(住宅・身体測定用)
- ノギス(皮膚感覚の測定用)
- アルコール綿・手袋・処置キット など
家族との信頼関係が重要
訪問看護では、患者の家族とのコミュニケーションが不可欠です。
K.Nさんは「家族の看護を否定するのではなく、共により良い方法を考えることが重要」と語ります。本人と家族が安心して看護に向き合えるような関係づくりを大切にしています。
男性看護師としての苦労と価値
訪問看護は女性が多い職場ですが、K.Nさんは「視点の違いがチームの強みになる」と語ります。
ただし、患者が男性看護師に抵抗を示す場合は、女性看護師と交代するなどの配慮も行っています。
移動手段と訪問の工夫
訪問先への移動は主に自転車。
下町での訪問では狭い道や一方通行が多いため、自動車よりも自転車のほうが効率的なのだそうです。
重い看護バッグを背負って、体力勝負の日々です。
専門分野とチームでの連携
訪問看護ステーションにはそれぞれの得意分野があり、K.Nさんはリハビリ看護を専門としています。
ですが、どのような患者にも対応できる「総合力」も大切とし、多様なニーズに応えています。
訪問看護のやりがいと責任
「その人がその人らしく生き、そして亡くなるまでを支えるのが訪問看護」と語るK.Nさん。
責任は重いですが、その分大きなやりがいを感じているそうです。
まとめ
- 訪問看護は患者と深く関わるやりがいのある仕事
- 現場では知恵と工夫が求められる
- 家族との信頼関係の構築が重要
- 得意分野を活かしながら多様なケースに対応
- 責任は重いが、看護の本質を活かせる仕事
※本記事は2025年8月時点の情報に基づいています。
訪問看護の現場は常に変化していますので、最新の情報は地域の訪問看護ステーション等でご確認ください。
コメント