導入で変わる“記録・見守り・移乗”|介護×ICT/ロボットで業務を軽くする最新トレンド

福祉・介護の職場ガイド

「夜勤の巡回でクタクタ」「記録に追われて、利用者さんと向き合う時間が足りない」──そんな声は、どの介護施設でも聞かれます。

人手不足が続く中で、ICT(情報通信技術)や介護ロボットを活用して、業務を“本気で”軽くしようという流れが一気に加速しています。

この記事では、介護施設で働くすべての職員(介護職・看護職・リハ職・ケアマネ・相談員・事務職・管理者)に向けて、最新の介護ICT・ロボットのトレンドと、現場にムリなく定着させるポイントをわかりやすく解説します。

  1. 1. いま介護現場に起きていること
  2. 2. 介護ICT・ロボット導入の3つのメリット
    1. 2-1. 業務負担の大幅軽減
    2. 2-2. 職員の定着・離職防止につながる
    3. 2-3. ご利用者ケアの質向上
  3. 3. いま注目のICT/ロボットのジャンル
    1. 3-1. 記録・情報共有系ICT
      1. ケア記録アプリ・クラウド型介護ソフト
    2. 3-2. 見守り・センサー系デバイス
      1. 離床センサー・見守りセンサー
      2. 睡眠・バイタルモニター
    3. 3-3. 介護ロボット(身体介助系)
      1. 移乗支援ロボット
      2. 歩行支援ロボット
    4. 3-4. コミュニケーションロボット
    5. 3-5. 施設運営・バックオフィスのICT
  4. 4. 導入の成功パターンと失敗パターン
    1. 4-1. 成功する施設の共通点
    2. 4-2. ありがちな失敗例
  5. 5. 費用と補助金の考え方
  6. 6. 導入で現場はどう変わる?イメージシナリオ
    1. 6-1. 夜勤の巡回負担が軽くなったケース
    2. 6-2. 記録時間が短くなり、残業削減に
  7. 7. これから導入したい施設が「最初にやること」
  8. 8. まとめ:ICT・ロボットは“人を減らすため”ではなく“人を守るため”の道具
  9. 9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. パソコンやスマホが苦手な職員でも使えますか?
    2. Q2. 導入費用が高そうで心配です…
    3. Q3. ICT・ロボットに任せると、人手がいらなくなってしまいませんか?
    4. Q4. どの分野から導入するのがおすすめですか?
    5. Q5. 個人情報やプライバシーは大丈夫でしょうか?

1. いま介護現場に起きていること

少子高齢化が進み、介護のニーズは増え続けている一方で、介護職員の確保は年々難しくなっています。

現場では次のような課題が重なり、「もう限界かも…」と感じる職員も少なくありません。

  • 記録・申し送り・請求業務などの事務作業が増え続けている
  • 夜勤・移乗介助などで身体的な負担が大きい
  • 人手不足で一人ひとりに余裕がない

こうした背景から、国や自治体もICT・ロボットの導入支援や補助金を拡充し、「テクノロジーで介護現場を支える」方向性がはっきりしてきました。

2. 介護ICT・ロボット導入の3つのメリット

2-1. 業務負担の大幅軽減

介護ICT・ロボットの最大のねらいは、「人じゃなくてもできる作業」を機械に任せることです。

  • タブレット記録や音声入力で、記録時間を短縮
  • 見守りセンサーで、夜間の巡回回数を減らす
  • 移乗支援ロボットで、職員の腰への負担を軽くする

その分、ご利用者さんと関わる時間や、じっくりケアを見直す時間を増やすことができます。

2-2. 職員の定着・離職防止につながる

「腰を痛めて退職」「心身ともに疲れ切ってしまった」──こうした離職を減らすためにも、ICT・ロボットは有効です。

  • 身体負担の大きい場面(移乗・排泄介助など)をロボットが部分的にサポート
  • 夜間の見守り負担が軽くなり、精神的なゆとりが生まれる

結果として、「長く働ける職場づくり」にもつながります。

2-3. ご利用者ケアの質向上

センサーや記録ソフトの活用により、ご利用者さんの状態変化を「なんとなくの感覚」ではなく、データとして把握できるようになります。

  • 睡眠時間や離床回数の変化から、体調悪化の兆候を早めにキャッチ
  • バイタルや食事量の記録が見える化され、カンファレンスで共有しやすい

職員の勘と経験だけに頼らず、エビデンスに基づいたケアへ近づいていきます。

3. いま注目のICT/ロボットのジャンル

3-1. 記録・情報共有系ICT

ケア記録アプリ・クラウド型介護ソフト

紙の記録から、タブレットやスマホで入力するスタイルへ切り替える事業所が増えています。

  • ベッドサイドや居室でその場入力 → あとでまとめて書く二度手間がなくなる
  • 写真やチェックボックスで入力でき、記録漏れや読みづらさを防げる
  • 請求や統計処理まで一元管理でき、事務職の負担も軽減

3-2. 見守り・センサー系デバイス

離床センサー・見守りセンサー

ベッドや居室にセンサーを設置し、離床・転倒リスク・徘徊などを検知するシステムです。

  • 夜間、必要な時だけ訪室することで不要な巡回を減らせる
  • 転倒や徘徊のリスクを早期に察知し、事故の予防に役立つ

睡眠・バイタルモニター

ベッドに敷いたシートで呼吸・心拍・体動を測定し、睡眠の質や体調の変化を把握できる機器も増えています。
「最近よく眠れていない」「夜間の覚醒が増えてきた」など、小さな変化を見逃さないケアに役立ちます。

3-3. 介護ロボット(身体介助系)

移乗支援ロボット

ベッドから車いす、車いすからトイレなどの移乗を補助してくれるロボットです。

  • 職員一人での移乗が難しい場面でも、安全にサポート
  • 繰り返しの持ち上げ動作を減らし、腰痛リスクを軽減

歩行支援ロボット

ご利用者さんの歩行訓練を支えるロボットも登場しています。リハビリ職の指示のもとで活用することで、転倒リスクを抑えた歩行練習が可能になります。

3-4. コミュニケーションロボット

会話や歌、ゲームなどを通じて、認知症ケアやレクリエーションをサポートするロボットも広がっています。

  • 職員が他のご利用者対応をしている間の見守り的な役割
  • グループレクの盛り上げ役として活躍

あくまで「人のケアを補助する存在」ですが、場を和ませ、孤立感を減らす効果が期待されています。

3-5. 施設運営・バックオフィスのICT

現場だけでなく、バックオフィス業務の効率化も重要です。

  • シフト作成・勤怠管理のクラウドシステム
  • デジタル申し送り・オンライン会議の活用
  • 紙資料のデータ化・クラウド保存

「現場を支える事務作業」が軽くなることで、全体の働き方が変わっていきます。

4. 導入の成功パターンと失敗パターン

4-1. 成功する施設の共通点

  • いきなり全フロアに入れず、小さなユニットから試験導入している
  • 機種選定の段階から、実際に使う介護職・看護職の意見を取り入れている
  • 導入時の研修や、使い始めのフォロー体制をきちんと確保している

「まずはやってみて、使いながら改善する」というスタンスが、ICT・ロボット定着のカギです。

4-2. ありがちな失敗例

  • 管理側だけで機種を決め、現場から「使いにくい」と敬遠されてしまった
  • 導入したものの、研修不足で一部の人しか使えない
  • サポート体制が弱く、トラブル時に対応できずそのままお蔵入り

「入れたら終わり」ではなく、導入後の運用・フォローまでセットで考えることが重要です。

5. 費用と補助金の考え方

介護ICT・ロボットは、初期費用だけを見ると決して安くはありません。

しかし、国や自治体の補助金・助成金制度を活用することで、事業所負担を抑えながら導入できるケースが多くなっています。

  • 介護ロボット・見守り機器・一体型介護ソフトなどが対象となる補助金
  • 通信環境整備(Wi-Fiなど)まで対象になる場合もある
  • 補助率や上限額は都道府県・市区町村ごとに異なる

最新の情報は「都道府県名+介護テクノロジー+補助金」などで検索し、自治体のホームページを確認するのがおすすめです。

また、ベンダー(機器提供会社)が申請をサポートしてくれる場合もあります。

6. 導入で現場はどう変わる?イメージシナリオ

6-1. 夜勤の巡回負担が軽くなったケース

見守りセンサーを導入した特養では、「1時間ごとの全室巡回」から、「センサーアラートを優先した巡回」に変更しました。

  • 無駄な訪室が減り、利用者の睡眠を妨げにくくなった
  • 職員の歩き回りが減り、夜勤後の疲労感が大きく軽減

6-2. 記録時間が短くなり、残業削減に

タブレット記録を導入した老健では、紙への手書き+パソコンへの再入力が不要になりました。

  • 日勤帯の記録時間が1人あたり1日30分以上削減
  • 残業時間が減り、職員の満足度もアップ

7. これから導入したい施設が「最初にやること」

「いつかはICT・ロボットを導入したいけれど、何から始めればいいかわからない…」という施設は、次のステップで進めてみてください。

  1. 業務の棚卸し:現場の「つらい・時間がかかる作業」を洗い出す
  2. 優先順位づけ:特に負担が大きい作業TOP3を決める
  3. 合うツールを探す:その作業を軽くしてくれそうなICT・ロボットを比較
  4. 小さく試す:1ユニット・1フロアなど限定して試験導入
  5. 効果を測る:記録時間や巡回回数など、前後で数字を比較

ポイントは、「すべてを一度に変えようとしない」こと。職員にもご利用者さんにも負担が少ない形で、少しずつ進めるのが現実的です。

8. まとめ:ICT・ロボットは“人を減らすため”ではなく“人を守るため”の道具

介護×ICT/ロボットは、「人を減らすための仕組み」ではなく、「現場の人を守り、利用者さんの暮らしを守るための道具」です。

  • 業務負担を軽くして、本来やりたかったケアに集中できる環境づくり
  • 職員が健康で長く働ける、持続可能な職場づくり
  • データを活用して、利用者一人ひとりに合ったケアを考える土台づくり

まずは、あなたの施設で「いちばんつらい作業」は何かを話し合うところから始めてみませんか?
その課題を解決してくれるICT・ロボットこそ、あなたの施設にとっての“最初の一歩”になるはずです。


9. よくある質問(FAQ)

Q1. パソコンやスマホが苦手な職員でも使えますか?

A. 最近の介護向けICT・ロボットは、現場職員が使いやすいように設計されています。
ボタンが大きくシンプルな画面構成だったり、音声入力に対応していたりと、ITに慣れていない方でも慣れやすいのが特徴です。
導入時の研修や、マニュアル動画などを用意してもらえるかを業者に確認すると安心です。

Q2. 導入費用が高そうで心配です…

A. 機器そのものは安くはありませんが、介護ロボット・ICT導入を支援する補助金・助成金制度が各地で整備されています。
補助率が高めに設定されているケースも多いため、まずは自治体のホームページや、機器ベンダーの説明会で情報収集してみてください。

Q3. ICT・ロボットに任せると、人手がいらなくなってしまいませんか?

A. 現実には、介護現場の人手不足は続いており、「人が余る」状況になるほどの自動化はほとんどありません。
むしろ、人でなければできないケアに職員が集中できるようにするための仕組みだと考えるとよいでしょう。

Q4. どの分野から導入するのがおすすめですか?

A. 多くの施設で導入しやすいのは、「記録のICT化」「見守りセンサー」といった分野です。
毎日の業務の中で効果が見えやすく、職員の負担軽減につながりやすいためです。
まずは、職員の意見を聞きながら「困りごと」が大きい作業から検討してみてください。

Q5. 個人情報やプライバシーは大丈夫でしょうか?

A. 介護向けのICT・ロボット製品は、個人情報保護やセキュリティに配慮して設計されていますが、カメラ映像の扱い方やデータの保存方法など、事業所側でルールを整えることも重要です。
導入前に、「誰が・どこまで・どう確認するのか」を職員間で共有し、ご利用者・ご家族さまにもわかりやすく説明しましょう。

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