義肢装具士は、失われた身体機能を補うための義肢(義手・義足)や装具を製作し、利用者の生活を支援する国家資格者です。
医療・福祉分野で重要な役割を担うこの資格について、仕事内容や資格取得方法、将来性を詳しく解説します。
よくある質問
義肢装具士とは何ですか?どんな仕事をしますか?
義肢(義手・義足など)や装具(体幹・上肢・下肢・足底板など)を設計・採型・製作・適合・調整・評価・修理まで一貫して行う国家資格の専門職です。医師の処方に基づき、歩行や日常生活動作の回復・軽減を支援します。
義肢と装具の違いは何ですか?
義肢は欠損した手足の機能や形状を代替する器具、装具は麻痺・疼痛・変形などに対して関節や体幹を支え、動きを補助・矯正・保護する器具です。
義肢装具士になるにはどうすれば良いですか?
養成校(大学・短大・専門学校)で所定の科目と臨床実習を修了し、国家試験に合格すると資格取得できます。
受験資格や学費・修業年限の目安は?
多くは高卒以上で、修業年限は3〜4年が一般的です。学費や費用は学校により異なるため、最新情報は各養成校の募集要項をご確認ください。
国家試験の内容は?難易度は高いですか?
基礎(解剖・生理・運動学など)と専門(義肢学・装具学・採型法・適合評価・材料学・法規など)が出題されます。合格率は年度で変動します。
どんな職場で働けますか?
義肢装具製作所、病院、リハビリテーションセンター、整形外科クリニック、福祉用具関連企業、研究機関・大学、海外人道支援などがあります。
一日の仕事内容の例を教えてください。
方内容の確認、評価・採寸/採型、CAD/CAMや3Dプリント・カーボン等での製作、仮合わせ/最終適合、歩行・動作評価、使用指導、記録・保守などです。
理学療法士や作業療法士との違いは?連携はありますか?
PT/OTは療法の実施が中心、義肢装具士は装具や義肢の専門家です。適合後の訓練やADL指導で密接に連携します。
収入・年収の目安は?
地域・職場規模・経験・役職で幅があります。経験を積むと設計責任者・管理職・技術営業などで年収アップが見込めます。
資格の更新は必要ですか?
国家資格自体に更新はありません。最新技術の習得のために学会・協会研修などで継続学習することが推奨されます。
費用負担(公的制度)はありますか?
医療保険、労災保険、障害者総合支援法の補装具費支給、自立支援医療(更生医療)などが適用される場合があります。詳細は医療機関・自治体で確認してください。
将来性やキャリアパスは?
高齢化・スポーツ領域・デジタル製作の普及で需要は堅調です。臨床スペシャリスト、分野特化、研究開発、教育、海外展開、製品開発など多様なキャリアがあります。
義肢装具士の仕事内容

- 採寸・採型・製作・フィッティング(適合調整)
- 装着時の不安軽減や心のケア
- 医師、理学療法士、作業療法士などとのチーム医療連携
- 最新技術(コンピュータ制御義肢など)を取り入れた製作
身体機能だけでなく、心のケアも重視する専門職であり、高度な技術力とコミュニケーション能力が求められます。
義肢装具士の勤務先と働き方
- 義肢装具製作会社(大多数)
- 契約先の病院・リハビリ施設へ出向勤務
- 一部、医療機関や福祉施設に直接雇用されるケースも増加傾向
基本的に製作会社に所属し、病院や施設と連携して業務を行うスタイルが主流です。
義肢装具士の給与・初任給
- 初任給目安:19万円前後(地域・企業規模により異なる)
- 経験・技術向上に伴い給与アップが可能
小規模企業水準が中心ですが、今後は病院直雇用の求人も増え、待遇改善が期待されています。
義肢装具士の将来性
- 障害者スポーツ(パラリンピック等)普及による需要増加
- 技術革新(高機能義肢・義足など)による専門性の高度化
- 障害者の社会参加推進で活躍の場が拡大
全国の有資格者は4,000人強と少数精鋭。
今後ますます重要性が高まる専門職です。
義肢装具士になるには?
受験資格
- 大学または義肢装具士養成所において、3年以上義肢装具士として必要な知識及び技能の修得者
- 大学もしくは高等専門学校、養成所において1年(高専は4年)以上修業し、指定科目を修め、義肢装具士養成所で、2年以上義肢装具士として必要な知識及び技能の修得者
- 職業能力開発促進法に基づく義肢及び装具の製作に係る技能検定に合格した者のうち、義肢装具士養成所で1年以上義肢装具士として必要な知識及び技能の修得者
- 外国の義肢装具の製作適合等に関する学校もしくは養成所を卒業し、又は外国で義肢装具士の免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が1、2又は3に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定された者
- 義肢装具士法施行の(昭和63年4月1日)前にすでに義肢装具士として必要な知識及び技能の修得を終えている者
※詳細は、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
国家試験の概要
- 試験科目:
- 臨床医学大要(神経学、整形外科、リハビリ医学など)
- 義肢装具工学(製図・機構学・制御工学など)
- 義肢装具材料学
- 生体力学
- 採型・採寸学
- 適応学
- 合格率目安:約80%前後
試験スケジュール(2025年実績)
- 受験申込期間:例年1月中旬~下旬
- 試験日程:2月21日(金)
- 合格発表:3月26日(水)
- 試験地:東京都内
- 受験料:59,800円
義肢装具士の養成校一覧(全国)
- 北海道科学大学 (令和7年度から募集停止)
- 北海道ハイテクノロジー専門学校
- 人間総合科学大学(リハビリテーション学科義肢装具学専攻)
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院
- 西武学園医学技術専門学校
- 新潟医療福祉大学
- 日本聴能言語福祉学院
- 神戸医療福祉専門学校 三田校
- 熊本総合医療リハビリテーション学院
- 広島国際大学(総合リハビテーション学部リハビテーション支援学科)
大学3校、専門学校6校のみと限られています。
まとめ|義肢装具士は「失った機能を補う」未来のサポーター
義肢装具士は、医療・福祉・スポーツの分野で、失われた機能を補い、人々の生活の質を向上させるプロフェッショナルです。
今後もさらなる技術革新と社会的ニーズの高まりにより、活躍のフィールドは広がっていくでしょう。
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